※今回の話には領土や領海についての話がありますが、全てこの作品における創作です。
 事実を参考に作った部分もありますが、あくまでも創作であることを前提にお読みください。

はい。それじゃあ今回はお話の舞台となっているバーミア諸島とその周辺の国々について説明するね。
オレ、どうも地理が苦手なんだよなぁ……。 みんなと一緒に航海しててるけど、地理感覚掴めねぇし。
じゃあまずは地図を見ながら説明しよっか。 これがバーミア海域の地図だよ。

バーミア諸島は大小様々な島で成り立っているんだ。それから二つの国に挟まれているのもポイントだね。右下の大陸が僕たちアルタリスが船籍を置いているリーレイア王国。左上の大陸がユーリの故郷でもあるクルセウス皇国。バーミア諸島はね、二つの国によって統治された区域なんだ。
そう、それがよくわかんないんだよな。よくギルダーたちが「ここは共有領海だ」とか「領海侵犯だ」とか言ってるけど、何でそんなややこしいことになっているんだ?
それについてはリーレイアとクルセウスの複雑で厄介な歴史が関わってくるわけなんだけどね……
ひとまず、次は領土と領海の色分けをした地図を見てみよっか。それぞれの領地でわけるとこんな感じになるね。
うわっ! 何これ!? ややこし!
うん、ややこしいよね。こんなふうに二つの国が複雑に絡み合っているのがバーミア諸島なんだ。
……本当はもっと細かく複雑に領地分けがされているんだけど、これ以上は上手く描けないから勘弁してほしいなぁ。
うん? 何の話だ?
『大人の事情』ってやつだよ。
それはさておき……。じゃあ地図の説明をしようか。 青・水色の箇所がリーレイアの、赤・ピンクの箇所がクルセウスの領土と領海だ。ここが通常『占有領土』とか『占有領海』とか言われている場所だね。ここはそれぞれの国のものであるから、他国が干渉することはできない。領土に足を踏み入れる時は入国手続きも必要となる。
……あれ? オレ、入国手続きとかした覚えがないんだけど。これって大丈夫なのか?
ああ、入国手続きならアルタリス号でまとめてやってるから大丈夫だよ。 (※実際のクルーズ船などもまとめてやっていたりします)
……まあ、ユーリの場合は本来クルセウスにいるはずの人間だから、いろいろと工作はしているんだけどね。
さて、難しくなるのはここからだね。 バーミア諸島を語る上で欠かせないのが『共有領土』と『共有海域』の存在だ。地図でいう紫・薄紫のところがそうだよ。この地域はリーレイアのものであり、クルセウスのものでもあるんだ。
なんでそんなややこしい地域があるんだよ?
これが歴史の難しいところだね。もともと、バーミア諸島はリーレイアもクルセウスも関係ない人々が暮らしていて、それぞれで自治をしていたんだ。そこに後から二国がやってきたもんだから、誰がこの海域を治めるかで大揉め。まあ侵略や略奪、更にはもともと住んでいた人たちの抵抗もあったりしたんだけど、最終的には両国で治めましょうってことで落ち着いたんだ。共有領土はその名残なんだ。
だから、共有領土は両方の国籍の人間が住んでいるし、法律は両国で定められたものが適用されている。入国手続きだって、リーレイアとクルセウス国籍の人限定だけど、他国へ行くよりはずっと簡単にできるんだ。
なるほど。そういうことだったのか。 それじゃあ領海も似たようなもの?
領海だと話が少し変わってくるね。
領海も占有か共有かが分かれているけど、通るだけだったらどの国の船が通っても大丈夫だよ。これを無害通航と呼ぶ。海は誰のものでもないし、線引きもできないから自由に通って構わないんだ。
ただし、気を付けてほしいのがあくまでも『通るだけ』を認めているってことだ。領海は当然ながらその国のものだから、そこで漁をできるのはその国の船だけだし、軍船が巡視するのも自分ところの領海だけだ。もし他国の領海でこのような行為をした場合は『領海侵犯』とみなされる。
もし領海侵犯をしたら具体的にどうなるんだ?
領海侵犯をしたからと言ってすぐに逮捕されるわけじゃない。海軍が領海侵犯の船を見つけた場合、まずはその船に対して警告を出す。バーミア海域は見ての通り、領海の区切りがかなり複雑だから単なる航路の誤りを考慮してのことだ。もし警告を無視した場合は拿捕し各国の法廷で裁かれることになる。場合によっては撃沈させるなんてこともあるね。
ほっ。それじゃあいきなり大砲をぶち込まれるなんてことはないんだな
ただし、それはあくまでも海軍の話。僕たち海賊には領海なんて関係ないから中には遠慮なくやってしまう輩もいる。海が危険ことに変わりはないよ。
あ、そうだ。 前々から聞こうと思ってたんだけど、アルタリスの アジトがある島ってこの地図のどの辺になるんだ?
えっと、ミスティレインの南、コスタリカの東だから…… 大体この辺になるかな。

……え。どれ?
この描き損じみたいな小さな点。
……わかんねぇ!!
何せバーミア諸島は数多くの島々で成り立っているからね。今のところでじゃ正確な地図ができないんだよ。もう少し技術が進歩しないと作れないだろうね。
ちなみに、この島はどっちの領土なんだ? それとも共有領土?
アルタリス島(正式な名称がないので勝手に命名)のように本来人が住んでいない場所や、未踏の島なんかは未だに領土が割り振られていない。どちらの領土でもないんだ。こういう島って領土にする価値もないから、どちらの国も放ったらかしなんだよ。主要の島さえとっておけばそれ以上領海が伸びることもないし、維持費だけが無駄にかかるしね。こういう島は誰が住みつこうが関係ないし、法も制度もない無法地帯なんだ。だから僕たちはおかまいなしに住んでるってわけ。




《今回のまとめ》
@バーミア諸島は占有領土、両国共有領土から成り立っている。 A占有領土へは入国手続きが必要だが、共有領土は簡易な手続きのみ。 B海はどの船が通っても構わないが、領海で何らかの行動をとると領海侵犯となる。 Cバーミア諸島にはどちらの領土でもない島もある。


今回はオリジナル設定のみですので参考文献はなしです。

[2014年 1月 19日]

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